2023年03月30日
卒業
3月、校庭の桜が満開になり
早くも散り始めた頃、1人で様々な
記憶を巡らせながら、ある相手を
想っている少年がいた
体育館では式典の最中。彼と
“想い人”が出会ってから
丸2年が経っていた
「…あっという間、だったな」
小さく、そう呟いた数分後突然
強風が吹き付け花びらが舞い上がった
驚愕する少年の後ろから「…ぷはっ」と
聞き馴染みのある笑い声が聞こえると
振り向くなり抗議の声を上げる少年
『…柳ちゃん。人の事見て笑うなんて
酷いよ』“柳ちゃん”と呼ばれた男は
笑い、彼の頭をワシャワシャと
かき乱しながら事情を話す
『ごめんごめん。でもさ、朱希式終わるまで
ずっとここで待ってたの?桜の花びら頭に
いっぱい埋まってるよ』少年の足元には
髪から叩き落とされた花びらがヒラヒラと
落ちていく。照れている少年、朱希
『…こっこれはさっき風、凄いの
吹いたから…あ、あり…がとう』
お礼を言ったその目には涙が浮かんで
両頬に一筋ずつ流れ出している
『何泣いてんの』そう言いながら
“柳ちゃん”こと、柳枝は卒業証書の
入った筒を脇に挟み両手で朱希の
涙を拭う。思わず泣いてしまったことを
指摘され赤面し慌てて自らの袖で
涙を拭う朱希。『…だって、柳ちゃん…
卒業…していっちゃう』悲しい声で
呟く朱希の頭をポンポンと撫でる柳枝
『そりゃそうだよ。俺、1コ上だもん』
そう、今日は柳枝の卒業式の日だった
『…僕、ずっと1人』枯れることなく
溢れ続ける涙を隠すように俯き呟く
朱希を柳枝は撫でながら
『朱希はさ、友達いっぱいいるじゃん』と
慰めるが『…明日から、柳ちゃんがいない…』と
返す朱希に柳枝は、鼻から小さく
ため息を吐き告げる
『あと1年の辛抱だよ。朱希が卒業したら
一緒に暮らそう。約束』
そう言うと朱希に向かって小指を差し出す
『…』無言で小指を絡める朱希の
顎を掬い顔を上げさせる柳枝
『目閉じて手、出して。俺が良いって言うまで
開けちゃダメだよ?』
頭にハテナを浮かべながら
言われるがままに目を閉じ
両手を出す朱希。「プチッ」と聞こえ
手に何かが乗った感覚を感じる
『いいよ』朱希がゆっくり目を開くと
その手には“第二ボタン”そして、桜の花びらが
1枚乗ってきた『…これ、柳ちゃんの』
頷く柳枝。『うん。あと1年、そのボタンを
俺だと思って、お守り代わりにでもしたら
良いよ』と話す
朱希は嬉しそうにボタンをぎゅっと
両手で握り締め胸に当てながら懸命に
背伸びをし柳枝と唇を合わせるが、上手く
中には入らない。軽く屈みキスに
応じる柳枝。2人が唇を重ね合わせる
時間は普段より長かった。どちらから
ともなく口を離し、ひと息つく
『最後くらい、しゃがんでもらわなくても
普通にキスしたかった』悔しそうに
朱希は呟く。その唇を柳枝は指で撫でた
『来年一緒に暮らす時、ちゃんと普通に
朱希からキス貰おうかな』笑いを含む
声で話す柳枝に朱希は少しムッとする
『…分かった。毎日牛乳飲む』
噴き出し笑う柳枝。朱希も釣られて笑い
校庭には2人の笑い声が長い時間
響いていた。
『ちゃんと手紙も書くし、電話もたまには
するからさ』そう告げて、朱希の額に
キスを落とす柳枝。『…うん』
朱希にとって、長いようで短い1年が
刻々と近づいていた
早くも散り始めた頃、1人で様々な
記憶を巡らせながら、ある相手を
想っている少年がいた
体育館では式典の最中。彼と
“想い人”が出会ってから
丸2年が経っていた
「…あっという間、だったな」
小さく、そう呟いた数分後突然
強風が吹き付け花びらが舞い上がった
驚愕する少年の後ろから「…ぷはっ」と
聞き馴染みのある笑い声が聞こえると
振り向くなり抗議の声を上げる少年
『…柳ちゃん。人の事見て笑うなんて
酷いよ』“柳ちゃん”と呼ばれた男は
笑い、彼の頭をワシャワシャと
かき乱しながら事情を話す
『ごめんごめん。でもさ、朱希式終わるまで
ずっとここで待ってたの?桜の花びら頭に
いっぱい埋まってるよ』少年の足元には
髪から叩き落とされた花びらがヒラヒラと
落ちていく。照れている少年、朱希
『…こっこれはさっき風、凄いの
吹いたから…あ、あり…がとう』
お礼を言ったその目には涙が浮かんで
両頬に一筋ずつ流れ出している
『何泣いてんの』そう言いながら
“柳ちゃん”こと、柳枝は卒業証書の
入った筒を脇に挟み両手で朱希の
涙を拭う。思わず泣いてしまったことを
指摘され赤面し慌てて自らの袖で
涙を拭う朱希。『…だって、柳ちゃん…
卒業…していっちゃう』悲しい声で
呟く朱希の頭をポンポンと撫でる柳枝
『そりゃそうだよ。俺、1コ上だもん』
そう、今日は柳枝の卒業式の日だった
『…僕、ずっと1人』枯れることなく
溢れ続ける涙を隠すように俯き呟く
朱希を柳枝は撫でながら
『朱希はさ、友達いっぱいいるじゃん』と
慰めるが『…明日から、柳ちゃんがいない…』と
返す朱希に柳枝は、鼻から小さく
ため息を吐き告げる
『あと1年の辛抱だよ。朱希が卒業したら
一緒に暮らそう。約束』
そう言うと朱希に向かって小指を差し出す
『…』無言で小指を絡める朱希の
顎を掬い顔を上げさせる柳枝
『目閉じて手、出して。俺が良いって言うまで
開けちゃダメだよ?』
頭にハテナを浮かべながら
言われるがままに目を閉じ
両手を出す朱希。「プチッ」と聞こえ
手に何かが乗った感覚を感じる
『いいよ』朱希がゆっくり目を開くと
その手には“第二ボタン”そして、桜の花びらが
1枚乗ってきた『…これ、柳ちゃんの』
頷く柳枝。『うん。あと1年、そのボタンを
俺だと思って、お守り代わりにでもしたら
良いよ』と話す
朱希は嬉しそうにボタンをぎゅっと
両手で握り締め胸に当てながら懸命に
背伸びをし柳枝と唇を合わせるが、上手く
中には入らない。軽く屈みキスに
応じる柳枝。2人が唇を重ね合わせる
時間は普段より長かった。どちらから
ともなく口を離し、ひと息つく
『最後くらい、しゃがんでもらわなくても
普通にキスしたかった』悔しそうに
朱希は呟く。その唇を柳枝は指で撫でた
『来年一緒に暮らす時、ちゃんと普通に
朱希からキス貰おうかな』笑いを含む
声で話す柳枝に朱希は少しムッとする
『…分かった。毎日牛乳飲む』
噴き出し笑う柳枝。朱希も釣られて笑い
校庭には2人の笑い声が長い時間
響いていた。
『ちゃんと手紙も書くし、電話もたまには
するからさ』そう告げて、朱希の額に
キスを落とす柳枝。『…うん』
朱希にとって、長いようで短い1年が
刻々と近づいていた
2022年03月05日
イケメンパラダイス ドキドキわくわく 初めてのゲイバー
【前情報】
イメージCV
奏 代永翼(「Free」葉月渚等)
恭哉 小西克幸(「世界一初恋」高野政宗等)
要 吉野裕行(「薄桜鬼」藤堂平助等)
【この先本編】
ここは、都内某所の
とあるゲイバー
店内BGMのジャズが流れる中
ワインやカクテルなどを手に
肩を組み合って
談笑したりしている
客たちの様子を入口付近で
中を時々覗いては
ウロウロしている
1人の青年がいた
(…入ってみたいな…
でも僕みたいのでも
入れるのかな)
見かねた一人の男が
青年に近づき声をかける
『なぁ。もしかして、普通の
バーとかと間違えてる?
…ここ、どこか分かる?
ゲイバー。分かるな?』
急に声をかけられ
ビクつきながらも
頷く青年
『あ…はい。ということは…
あなたも…?』
口角をニヤリと上げ話す男
『当然だ。俺は男しか抱かない
さ、男に抱かれたくなきゃ…
とっとと帰んな』
俯きながら呟く青年
『実は…僕も…なんです』
そう聞いて驚く男
『…男、好きなの?』
頷く青年に、男は質問し会話する
『歳は?』
『20歳…です…』
『身分証ある?
ほら、一応バーだからさ…
未成年入れる訳には…』
身分証を提示した青年
男は確認して返すと
おもむろに手を伸ばし
『ようこそ。八坂奏くん』と
歓迎する
戸惑いながらも男の手を取る青年
客たちの間を縫うように店内を進む
キョロキョロと見回す奏に男は…
『あんまキョロキョロすんな?若い
新客は格好の的だからな』
『はい』と会話する2人に向かって
声が飛んできた
『何、恭哉。また新しいの?
お前何人目だよ。カレシ腐るほど
いんだろ?』
恭哉と呼ばれた男は
声のする方を向き
『人聞きの悪ぃこと言ってんじゃねーよ要
1回寝た程度のやつは
カレシじゃねぇし』と抗議
恭哉の言葉に驚いて
奏は手を離してしまう
あからさまに気を落とす恭哉
『…みろ。お前が人聞きの悪ぃこと
言うから引かれちまったじゃねぇか』
『何お前?ひょっとして
そーゆーのがモノホンなの?』と言った
要と呼ばれた男は
ニッコリ笑顔で挨拶してきた
『こんばんは、僕ちゃん』
『若い客にやたら絡むな』と恭哉
何やらモジモジする青年
『あ…あの…』
察する恭哉
『そういや、まだだったな
俺は、須藤恭哉(ストウ キョウヤ)
この店の支配人だ。よろしくな』
と言って改めて手を伸ばす
応えて握手する奏
『よろしくお願いします。
須藤さん』
『別に恭哉で良いんだけど、ま。いーや
で、そこにいんのが
いちおー副支配人の…』
要は立ち上がり
『「いちおー」はねぇだろ』と
抗議するも、ニッコリ笑顔で
『ご紹介に預かりました
副支配人、濱野要(ハマノカナメ)
です。よろしく』
『よろしくお願いします。僕は
八坂奏(ヤサカ ソウ)って
言います』と流れで自己紹介
恭哉は年齢28。身長185cm、要も
180cmはありそうな感じだ。年齢26
一方奏は160cmそこそこ
要は「よろしく」ついでに
奏の頭に手を置き
『奏くん、小ちゃくてカワイイね』
と言った
恭哉はその手を退かしながら
『初対面の相手に失礼なこと
言ってんじゃねーよ』と叱る
『僕なら大丈夫です。小さいは
言われ慣れてますから』
そう言いながらも目に涙が浮かぶ奏
要は慌ててハンカチを差し出すと
『ごめんね。悪気とかはなくてただ
カワイイから。気にしてたよね
本当にごめん』シュン、とする
要に申し訳なくなった奏は
ハンカチを受け取り涙を拭きながら
『ありがとうございます。すみません
僕も、泣くつもりじゃなかったん
ですけど…』と言ってこう続けた『ハンカチ…
洗って返しますね』
『いいよいいよ。それ、あげる
他の客にも泣かされるかも
しれないしね』と言いながら
何故かウィンクする要
『それよりどう?この店、慣れた?
まだ分かんないか』
『あ…はい。すいません』
思わず謝ってしまう奏に
要は苦笑する
『反応カワイイ!恭哉。奏くんは
今日から俺の』
『はぁ?勝手言ってんじゃねーよ要
今日会ったばっかの奴に
自分の扱いされても
奏が困るだろ』
抗議する要
『そういうお前だって
今日会ったばっかなのに
呼び捨てじゃん。そっちの方が
奏くん困ってんじゃね?』
様子を見る恭哉に
キョトンとする奏
『僕…この店好きになりそうです』と
話す奏に恭哉は近づいて
『…こーゆーこと、されても?』と
聞きながら奏の顎を指先で掬い
突然キスする
『…ん!』
驚き目を見開く奏だったが
慣れてるのか
そのキスは心地よく
奏は受け入れ目を閉じた。唇を
離す恭哉
『やっぱ、嫌か?初対面のやつに
こんなことされんのは』と
奏の口の端を親指で拭いながら聞く
『…嫌じゃ…なかったです』
一部始終見ていた要は
近づいてきて抗議する
『恭哉だけ、ずりぃ。キスなら
オレだって上手いもんなぁ
奏くん。嫌だったらごめんね』
謝ってからキスした要だったが
奏の唇は既に閉じていた
1度離れた要は
奏の唇を親指でなぞりながら
『奏くん。口、開けてよ
それとも、俺じゃダメ?』と
聞いた
『ダメに決まってんだろ』と奏より
先に答えた恭哉に要は再び
唇を突き出し『お前には聞いてねーよ』と
抗議する
『…濱…野…さん』
唇を薄く開く奏を見て
要はニッコリご機嫌になり
『あ♪良い?』頷く奏に
ちゅ、っと軽いキスをして
すぐに離れる
『…どう?奏くん。恭哉と俺
どっちのキスが好き?』
『…あ…あの…えっと』
見かねた恭哉
『いきなり究極の選択肢
突きつけてんじゃねぇよバカ
あんなキスじゃ比較対象にも
ならねぇだろ』
答えに悩んでいた奏には
その言葉が救いに感じた
『えっ…と…』
呆れて鼻からため息を漏らす恭哉
『答えなくて良いから
お前、変に真面目だよな』と
言葉を選んでいた奏の唇に
指を当て静止する
『…はい。すみません』
『謝んなくていーけどさ
次来る時は、要のシフトが
ねぇ時にしろ。今月は…』
シフト状況を手帳で
確認する恭哉に要は抗議する
『お前、客にシフト教えようと
してんじゃねぇよ。そーやって
奏くん独り占めする気だろ?
支配人のすることかよ!汚ねぇ』
眉間に皺を寄せ
手帳をしまう恭哉
一触即発の雰囲気
『あ…あの…』
2人の視線が一斉に
奏に向く
『僕…お2人どちらのキスも
選べません。今は…まだ』
そう聞いた要は、胸に抱き寄せて
耳元で囁いた
『奏くん。また来てくれる?
その時は、ちゃんとしたキスをして…
恭哉じゃなくて俺を選ばせてあげる』
そう言って離れる要
『はい、来ます』
赤面しながらも、迷わず頷き
答えた奏に
恭哉は大きなため息
『お前、なんっも分かってねーのな?
2人の男から狙われてんだぜ?
それでも来んの?』
縦に頷いた奏は、まだ
頬を微かに染めながら
帰って行った
『お前、奏に何言いやがった?』
要はカクテルグラスを手に
『なーいしょ』と言うと
カクテルを飲み干し
接客に戻った
恭哉は入口の方を見ている
イメージCV
奏 代永翼(「Free」葉月渚等)
恭哉 小西克幸(「世界一初恋」高野政宗等)
要 吉野裕行(「薄桜鬼」藤堂平助等)
【この先本編】
ここは、都内某所の
とあるゲイバー
店内BGMのジャズが流れる中
ワインやカクテルなどを手に
肩を組み合って
談笑したりしている
客たちの様子を入口付近で
中を時々覗いては
ウロウロしている
1人の青年がいた
(…入ってみたいな…
でも僕みたいのでも
入れるのかな)
見かねた一人の男が
青年に近づき声をかける
『なぁ。もしかして、普通の
バーとかと間違えてる?
…ここ、どこか分かる?
ゲイバー。分かるな?』
急に声をかけられ
ビクつきながらも
頷く青年
『あ…はい。ということは…
あなたも…?』
口角をニヤリと上げ話す男
『当然だ。俺は男しか抱かない
さ、男に抱かれたくなきゃ…
とっとと帰んな』
俯きながら呟く青年
『実は…僕も…なんです』
そう聞いて驚く男
『…男、好きなの?』
頷く青年に、男は質問し会話する
『歳は?』
『20歳…です…』
『身分証ある?
ほら、一応バーだからさ…
未成年入れる訳には…』
身分証を提示した青年
男は確認して返すと
おもむろに手を伸ばし
『ようこそ。八坂奏くん』と
歓迎する
戸惑いながらも男の手を取る青年
客たちの間を縫うように店内を進む
キョロキョロと見回す奏に男は…
『あんまキョロキョロすんな?若い
新客は格好の的だからな』
『はい』と会話する2人に向かって
声が飛んできた
『何、恭哉。また新しいの?
お前何人目だよ。カレシ腐るほど
いんだろ?』
恭哉と呼ばれた男は
声のする方を向き
『人聞きの悪ぃこと言ってんじゃねーよ要
1回寝た程度のやつは
カレシじゃねぇし』と抗議
恭哉の言葉に驚いて
奏は手を離してしまう
あからさまに気を落とす恭哉
『…みろ。お前が人聞きの悪ぃこと
言うから引かれちまったじゃねぇか』
『何お前?ひょっとして
そーゆーのがモノホンなの?』と言った
要と呼ばれた男は
ニッコリ笑顔で挨拶してきた
『こんばんは、僕ちゃん』
『若い客にやたら絡むな』と恭哉
何やらモジモジする青年
『あ…あの…』
察する恭哉
『そういや、まだだったな
俺は、須藤恭哉(ストウ キョウヤ)
この店の支配人だ。よろしくな』
と言って改めて手を伸ばす
応えて握手する奏
『よろしくお願いします。
須藤さん』
『別に恭哉で良いんだけど、ま。いーや
で、そこにいんのが
いちおー副支配人の…』
要は立ち上がり
『「いちおー」はねぇだろ』と
抗議するも、ニッコリ笑顔で
『ご紹介に預かりました
副支配人、濱野要(ハマノカナメ)
です。よろしく』
『よろしくお願いします。僕は
八坂奏(ヤサカ ソウ)って
言います』と流れで自己紹介
恭哉は年齢28。身長185cm、要も
180cmはありそうな感じだ。年齢26
一方奏は160cmそこそこ
要は「よろしく」ついでに
奏の頭に手を置き
『奏くん、小ちゃくてカワイイね』
と言った
恭哉はその手を退かしながら
『初対面の相手に失礼なこと
言ってんじゃねーよ』と叱る
『僕なら大丈夫です。小さいは
言われ慣れてますから』
そう言いながらも目に涙が浮かぶ奏
要は慌ててハンカチを差し出すと
『ごめんね。悪気とかはなくてただ
カワイイから。気にしてたよね
本当にごめん』シュン、とする
要に申し訳なくなった奏は
ハンカチを受け取り涙を拭きながら
『ありがとうございます。すみません
僕も、泣くつもりじゃなかったん
ですけど…』と言ってこう続けた『ハンカチ…
洗って返しますね』
『いいよいいよ。それ、あげる
他の客にも泣かされるかも
しれないしね』と言いながら
何故かウィンクする要
『それよりどう?この店、慣れた?
まだ分かんないか』
『あ…はい。すいません』
思わず謝ってしまう奏に
要は苦笑する
『反応カワイイ!恭哉。奏くんは
今日から俺の』
『はぁ?勝手言ってんじゃねーよ要
今日会ったばっかの奴に
自分の扱いされても
奏が困るだろ』
抗議する要
『そういうお前だって
今日会ったばっかなのに
呼び捨てじゃん。そっちの方が
奏くん困ってんじゃね?』
様子を見る恭哉に
キョトンとする奏
『僕…この店好きになりそうです』と
話す奏に恭哉は近づいて
『…こーゆーこと、されても?』と
聞きながら奏の顎を指先で掬い
突然キスする
『…ん!』
驚き目を見開く奏だったが
慣れてるのか
そのキスは心地よく
奏は受け入れ目を閉じた。唇を
離す恭哉
『やっぱ、嫌か?初対面のやつに
こんなことされんのは』と
奏の口の端を親指で拭いながら聞く
『…嫌じゃ…なかったです』
一部始終見ていた要は
近づいてきて抗議する
『恭哉だけ、ずりぃ。キスなら
オレだって上手いもんなぁ
奏くん。嫌だったらごめんね』
謝ってからキスした要だったが
奏の唇は既に閉じていた
1度離れた要は
奏の唇を親指でなぞりながら
『奏くん。口、開けてよ
それとも、俺じゃダメ?』と
聞いた
『ダメに決まってんだろ』と奏より
先に答えた恭哉に要は再び
唇を突き出し『お前には聞いてねーよ』と
抗議する
『…濱…野…さん』
唇を薄く開く奏を見て
要はニッコリご機嫌になり
『あ♪良い?』頷く奏に
ちゅ、っと軽いキスをして
すぐに離れる
『…どう?奏くん。恭哉と俺
どっちのキスが好き?』
『…あ…あの…えっと』
見かねた恭哉
『いきなり究極の選択肢
突きつけてんじゃねぇよバカ
あんなキスじゃ比較対象にも
ならねぇだろ』
答えに悩んでいた奏には
その言葉が救いに感じた
『えっ…と…』
呆れて鼻からため息を漏らす恭哉
『答えなくて良いから
お前、変に真面目だよな』と
言葉を選んでいた奏の唇に
指を当て静止する
『…はい。すみません』
『謝んなくていーけどさ
次来る時は、要のシフトが
ねぇ時にしろ。今月は…』
シフト状況を手帳で
確認する恭哉に要は抗議する
『お前、客にシフト教えようと
してんじゃねぇよ。そーやって
奏くん独り占めする気だろ?
支配人のすることかよ!汚ねぇ』
眉間に皺を寄せ
手帳をしまう恭哉
一触即発の雰囲気
『あ…あの…』
2人の視線が一斉に
奏に向く
『僕…お2人どちらのキスも
選べません。今は…まだ』
そう聞いた要は、胸に抱き寄せて
耳元で囁いた
『奏くん。また来てくれる?
その時は、ちゃんとしたキスをして…
恭哉じゃなくて俺を選ばせてあげる』
そう言って離れる要
『はい、来ます』
赤面しながらも、迷わず頷き
答えた奏に
恭哉は大きなため息
『お前、なんっも分かってねーのな?
2人の男から狙われてんだぜ?
それでも来んの?』
縦に頷いた奏は、まだ
頬を微かに染めながら
帰って行った
『お前、奏に何言いやがった?』
要はカクテルグラスを手に
『なーいしょ』と言うと
カクテルを飲み干し
接客に戻った
恭哉は入口の方を見ている
2022年02月04日
お花見プレイ(※R18)
4月下旬、無事校了を終えた
高野達は木佐の
何気ない提案を受け
エメラルド編集部全員で
花見に来ていた
意識を喪失しない程度に
酒を飲み、食事をしながら
たわいない会話に
花を咲かせる一行
暫く後、桜に見とれる
メンバーの目を盗み
高野は恋人
小野寺律の手を引き
そっと、会場を離れた
「あ、あの…高野さん」
急に俺の手を引いてみんなから
離れて歩いていく彼に
声をかけたが返事はない
そして会場から
だいぶ離れた人気の少ない
場所で高野さんは俺を
1本の桜の木に押し付けて
逃げ道を塞ぐように木に
片手を当て、突然
唇を重ねてきた
「…んっ!」
メインから
外れてるとはいえ
誰かに見られるかもしれない
そんな焦りも感じたのに俺は
いつものように彼の身体を
突き飛ばすことが出来なかった
そして、薄ら目を開けると…
同じように薄ら目を開け
俺をじっ、と見つめながら
キスをする高野さんの顔が
目に飛び込んできて…
照れて再び目を瞑った
((この人、いつもこんな顔で
俺にキスをしてたのか…?))
そんなことを考えていたら
急に高野さんが離れて
踵を返しながら
「そろそろ戻るか」と言った
その方が良いかも、とも
思ったが…もう少しだけ
二人でいたい-。そう思った
俺は気がつくとその広い背中の
服を両手で軽く引っ張って
無言で引き止めていた。
その瞬間
理性を抑えられなく
なったのだろう。高野さんは
またあの木に俺を押し付けて
短い呼吸を繰り返しながら
何度も、熱く滾る舌を
俺の舌に絡めながら
深いキスをしてきた
「んぅっ…はっ…ん」
こんな外で、誰に
見られるか分からない
恥ずかしいはずなのに
キスと同じくらい深い愛情を
感じ、高揚感を
覚え始めていた時
気が済んだのか
俺から離れた
ほっとしたのもつかの間
また俺は手を引かれて
どこかに連れていかれる
辿り着いたのは
今は使われていない
人気のない駐車場
戸惑う俺の身体を
奥の壁に押し付けると
高野さんは無断で
急にベルトを引き抜き
ファスナーを下ろし…
下着ごと、ズボンを
ずり下ろした
「…!ちょ、高野さん!
なにするんですか!
こんなとこで」
突然下半身を露わにされ
怒ると低い声で反論された
「…騒ぐんじゃねぇよ。バカ
せっかく人気ねぇとこに
来たのに…意味ねぇじゃん」
そうは言っても
こんな屋外で、これから
高野さんが俺にしようとしてる
ことがわかって、騒がない
やつなんていないだろう…
「すぐ済むから、じっとしてろ」
そういうと高野さんは
俺の中に何度も太い指を
抜き差しして
孔を広げ始めた
「あっ…やっ…!高野…さ」
俺の声は、もう届かない
こうなっては、この人は
目的を達成するまで
止められない
暫くして
完全に俺の孔が奥まで
開いたことを
確認できたのだろう
指がそっと引き抜かれ
後ろでファスナーを
下ろす音が聞こえた
チャックの隙間から
顔を出した、雄々しく
勃ち上がったソレは
間髪入れず俺の中に
挿しこまれた
「あっ…!」
指より遥かに熱いモノが
俺の体の奥に、少しずつ
入り込んできた
慣れていたはずの
この行為だが、野外では
初めてで…高鳴る鼓動
俺は顔を真っ赤に
染めていた
「あっ、やっ…う…」
俺の喘ぎ声に重なるように
「はっ、はっ」と規則的な
高野さんの息遣いが聞こえる
((興奮してる…))
そして最深部まで繋がった
俺たちの身体は、たちまち
互いに熱を帯び始めた
暫くして
震える声が耳に届いた
『っ…は、小野寺…
今日は…俺が、先…
イって、良い?』
この人は何を確かめてるんだ!?
俺が黙って頷くと
それを合図に達した
『あっ…!』
熱い…すごく熱い…
そして俺自身も
爆ぜるまでに
そう時間はかからなかった
『はぁ、はぁ』と重なる
2つの声
全身の熱が引いたところで
俺たちは元通り服を着て
編集部のみんなのところに
戻ることにした
木佐
『高野さん!律っちゃん!
探したよ』
羽鳥
『黙ってどこに
行っていたんです?』
美濃
『トイレかな?とも思ったけど
それにしちゃ長いなって』
等と口々に言われ、俺が
返事に困ってると
『わり。この桜並木が
どこまで続いてんのか
気になって小野寺と2人で
ずっと向こうまで行ってた』と
高野さんが代わりに答えてくれた
木佐さんは…
『ちょ、なんだよそれ
それならそうと一声
かけろよな』と、むくれて
しまった。俺も謝ると、日も
傾き始めたので現地解散で
お開きになった
高野達は木佐の
何気ない提案を受け
エメラルド編集部全員で
花見に来ていた
意識を喪失しない程度に
酒を飲み、食事をしながら
たわいない会話に
花を咲かせる一行
暫く後、桜に見とれる
メンバーの目を盗み
高野は恋人
小野寺律の手を引き
そっと、会場を離れた
「あ、あの…高野さん」
急に俺の手を引いてみんなから
離れて歩いていく彼に
声をかけたが返事はない
そして会場から
だいぶ離れた人気の少ない
場所で高野さんは俺を
1本の桜の木に押し付けて
逃げ道を塞ぐように木に
片手を当て、突然
唇を重ねてきた
「…んっ!」
メインから
外れてるとはいえ
誰かに見られるかもしれない
そんな焦りも感じたのに俺は
いつものように彼の身体を
突き飛ばすことが出来なかった
そして、薄ら目を開けると…
同じように薄ら目を開け
俺をじっ、と見つめながら
キスをする高野さんの顔が
目に飛び込んできて…
照れて再び目を瞑った
((この人、いつもこんな顔で
俺にキスをしてたのか…?))
そんなことを考えていたら
急に高野さんが離れて
踵を返しながら
「そろそろ戻るか」と言った
その方が良いかも、とも
思ったが…もう少しだけ
二人でいたい-。そう思った
俺は気がつくとその広い背中の
服を両手で軽く引っ張って
無言で引き止めていた。
その瞬間
理性を抑えられなく
なったのだろう。高野さんは
またあの木に俺を押し付けて
短い呼吸を繰り返しながら
何度も、熱く滾る舌を
俺の舌に絡めながら
深いキスをしてきた
「んぅっ…はっ…ん」
こんな外で、誰に
見られるか分からない
恥ずかしいはずなのに
キスと同じくらい深い愛情を
感じ、高揚感を
覚え始めていた時
気が済んだのか
俺から離れた
ほっとしたのもつかの間
また俺は手を引かれて
どこかに連れていかれる
辿り着いたのは
今は使われていない
人気のない駐車場
戸惑う俺の身体を
奥の壁に押し付けると
高野さんは無断で
急にベルトを引き抜き
ファスナーを下ろし…
下着ごと、ズボンを
ずり下ろした
「…!ちょ、高野さん!
なにするんですか!
こんなとこで」
突然下半身を露わにされ
怒ると低い声で反論された
「…騒ぐんじゃねぇよ。バカ
せっかく人気ねぇとこに
来たのに…意味ねぇじゃん」
そうは言っても
こんな屋外で、これから
高野さんが俺にしようとしてる
ことがわかって、騒がない
やつなんていないだろう…
「すぐ済むから、じっとしてろ」
そういうと高野さんは
俺の中に何度も太い指を
抜き差しして
孔を広げ始めた
「あっ…やっ…!高野…さ」
俺の声は、もう届かない
こうなっては、この人は
目的を達成するまで
止められない
暫くして
完全に俺の孔が奥まで
開いたことを
確認できたのだろう
指がそっと引き抜かれ
後ろでファスナーを
下ろす音が聞こえた
チャックの隙間から
顔を出した、雄々しく
勃ち上がったソレは
間髪入れず俺の中に
挿しこまれた
「あっ…!」
指より遥かに熱いモノが
俺の体の奥に、少しずつ
入り込んできた
慣れていたはずの
この行為だが、野外では
初めてで…高鳴る鼓動
俺は顔を真っ赤に
染めていた
「あっ、やっ…う…」
俺の喘ぎ声に重なるように
「はっ、はっ」と規則的な
高野さんの息遣いが聞こえる
((興奮してる…))
そして最深部まで繋がった
俺たちの身体は、たちまち
互いに熱を帯び始めた
暫くして
震える声が耳に届いた
『っ…は、小野寺…
今日は…俺が、先…
イって、良い?』
この人は何を確かめてるんだ!?
俺が黙って頷くと
それを合図に達した
『あっ…!』
熱い…すごく熱い…
そして俺自身も
爆ぜるまでに
そう時間はかからなかった
『はぁ、はぁ』と重なる
2つの声
全身の熱が引いたところで
俺たちは元通り服を着て
編集部のみんなのところに
戻ることにした
木佐
『高野さん!律っちゃん!
探したよ』
羽鳥
『黙ってどこに
行っていたんです?』
美濃
『トイレかな?とも思ったけど
それにしちゃ長いなって』
等と口々に言われ、俺が
返事に困ってると
『わり。この桜並木が
どこまで続いてんのか
気になって小野寺と2人で
ずっと向こうまで行ってた』と
高野さんが代わりに答えてくれた
木佐さんは…
『ちょ、なんだよそれ
それならそうと一声
かけろよな』と、むくれて
しまった。俺も謝ると、日も
傾き始めたので現地解散で
お開きになった